左手だけの練習の重要性 ホームへ戻る
今から10年前のこと、仕事中に、機械に右の小指と薬指を挟まれ、
右小指が約1センチ欠損しました。また、薬指は倍くらいに偏平し、医者に「色が悪いから、
(血流が悪いので、壊死するかも知れないので)、もしかしたら落とさないといけないかもしれない」
と言われ、ピアノをひくことはもうできないと、絶望しました。
まだ、ピアノを始めて2年ほどでしたが、残念で仕方ありませんでした。
幸運にも、一年くらいで、小指は、短いままですが、薬指は、少し太いくらいで、何とか黒鍵の間に指が
入るくらいまでに、回復しました。ただ、今でも、冬場は、血流が悪いので、小指だけは、さすっていないと
冷たいままですし、不用意に鍵盤の角に、小指の先が当たると痛みます。
このときの痛みは、それまで感じたことが無いほどひどいものでした。
いかに指先に神経がたくさん走っているかがよくわかりました。割と鈍感で、自分自身、痛みに対しては
強いほうだと思っていましたが、このときは、ガーゼを換えるだけで、気絶しそうな痛みを感じていました。
医者も「指を落としたほうが痛みは少ない。」 と言っていました。
でも、二週間たって、やっぱり、ピアノを弾きたいと思い、包帯を巻いて教室へ行きました。先生も
びっくりしていましたが、「ジャズなら、右の指3本で弾けるよ」と言われ、少し希望が見えました。
そして現在に至っています。
前置きが長くなりましたが、このとき、痛みがひくまでに、約三ヶ月かかりました。
その間、右手は全く使えず、かといって、ピアノから離れたら、そのまま、ピアノを弾かなくなる可能性も
あると思い、非常につまらなかったのですが、左手だけの練習をしました。そして、このとき、左手をいかに
軽視して弾いていたかが、よくわかりました。そして続けていくうちに、左手だけの練習が、
さほどつまらなくなくなってきました。 三ヶ月目からは、ポピュラーで指使いをあまり気にせず、
右手の指3本で、弾ける曲を練習しました。
皆さん、よくご存知と思いますが、ピアノにおける、左手の重要性は、ほとんどの先生が指摘します。
ピアノは左手がベースであり、そこで、リズムがきちっと刻めないと、聞いているほうが、不安になってくる、
と言われます。その通りなんです、頭ではわかっているのですが、右手のメロディーが好きなので、
どうしてもそれを中心に練習してしまうのです。
そして完成したときには、どうも左手がイマイチと言うことになりがちです。
これは、左手が不器用なのではなく、右手の半分も、エネルギーが注がれていないのが原因だと思います。
逆に左手練習に十分な時間を注げば、すばらしい仕上がりになると思います。
更に、これにメトロノームを加えれば、鬼に金棒です。左はリズムなのですから、メトロノームに合わせることは、
絶対条件です。
私は、そのときは、いい仕上がりになったのですが、右手が使えるようになると、以前のように右手中心の
練習に戻ってしまい、今、左手中心に練習するように先生から右手禁止令が出ています。(苦笑い)